第3回 知話輪サロン/ひろしま『挑戦し続ける三浦雄一郎の肉体と心』~80歳でエベレスト登頂に成功し、86歳の今も挑戦し続けるヒミツ~のメインビジュアル

第3回 知話輪サロン/ひろしま『挑戦し続ける三浦雄一郎の肉体と心』
~80歳でエベレスト登頂に成功し、86歳の今も挑戦し続けるヒミツ~

日時
2019年6月7日(水)
会場
ドリーム・アーツ広島本社 おりづるタワー

2019年6月7日、特別ゲストとして冒険家・プロスキーヤー 三浦雄一郎氏、パネリストとして広島県知事 湯﨑英彦氏をお招きして「知話輪サロン/ひろしま」を開催しました。
本サロンは、日本・世界レベルで活躍するゲストの話に耳を傾け、ざっくばらんに語り合い、ドリーム・アーツにご縁がある方同士で交流し合うインフォーマルな集いです。“ユルいけれど真剣”、“和気あいあいだけれども本音”、“理屈よりも感性”……そんな雰囲気のなか盛況のうちに終了した「知話輪サロン」を今回は特別にレポートします。

INDEX

山本三浦さん、貴重なお話ありがとうございました。 後半はパネルディスカッションです。午前中は大雨警報や避難勧告もあり心配しましたが、被害もなく湯崎知事にも無事に参加いただきました。湯﨑知事、ありがとうございます!

湯﨑氏本当に何ごともなく良かったです。本日はよろしくお願いします。
さて、みなさんは崖のうえからスキーで滑走するなど、危ないので真似はしないようにしましょう(笑)雪崩に巻き込まれたりして、いまここに生きているのが不思議な感じもあるのではないでしょうか。
三浦氏確かに。好奇心が強いもので、北極にも行きました。エベレストでは時速300kmを超えたスピードで転げ落ちたのですが岩に落ちて助かりました。
その時は助かるわけないけれど、一方では助かったらこれほど贅沢な人生はないと思いながら気を失いました。
気が付いたら、幸運なことに雪崩の一番うえにいて、ぽっと月が浮かんで見えました。それ以外にも本当に運が良かったと思うことは度々ありましたよ。

スキー談義で盛りあがる湯﨑氏 湯﨑 英彦氏

湯﨑氏真似しようと思っても真似できないですね。これまで色々な環境で厳しいスキーをされてきましたが、挑戦とは離れた気持ちのいいファンスキーも滑られていますよね?
三浦氏やっぱり夜しんしんと雪が降ったあとに晴れた日のパウダースノー。いつだってファーストラン(初滑り)は最高です。雪は雲からできていますし、自然と一体になったように感じます。具体的には、故郷である北海道の手稲山も最高の北斜面です。
湯﨑氏夢のような話ですね。私も長年スキーをしていますが、広島市内だと新雪が積もってもせいぜい15cm程度なので、なかなかパウダースノーを滑れるシチュエーションには出会えません。
三浦さんは過酷なこともたくさんしておられますが、もっとも過酷だった経験は?

もっとも過酷だった経験を語る三浦氏 三浦 雄一郎氏

三浦氏やはりエベレストですね。標高8,000mからパラシュートを使っておりてきましたが、今考えても生きて帰ってこれたのは運が良かったと思っています。 その様子を撮影していた動画を、のちに英語版に加工したのですが、なんと海外ドキュメンタリー部門でオスカー、アカデミー賞を受賞しました。 当時のアメリカ大統領であるジミー・カーターさんは、ストレスが溜まって病気がちだったそうですが、この動画を見てスッキリした、勇気をもらったと話されていました。4年間で20回位ご覧になられたそうです。
山本三浦さんの挑戦がアメリカ大統領を勇気づけた。凄い話ですね。実際にお会いしたこともあるとか?

三浦氏アメリカの財界人はスキーをされる方がたくさんいます。
スキーリゾートで滑っていると、急遽、カーター大統領が会いたいとのことでお会いしました。800名ほどいる政治集会場の壇上で大統領が先ほどのオスカーを受賞した映画の話をしてくれました。
湯﨑氏人間の極限、必死の力というのは何か心打つものだったり、メッセージを持つことだったりということなんでしょうね。ありがとうございます。

山本今回、アコンカグアは断念という結果になりましたが、予想に反して、ものすごく取り上げられましたよね。 むしろ断念されたというコンテクストのなかに新しい挑戦の意味があったように思うんですよね。
三浦氏今回は僕にとっては99%登頂できると思っていたので不本意だったのですが、勇気ある撤退という形での冒険になりました。 チャレンジすることが大事ですが、時に諦めることも勇気がいると、ある意味では非常に良い形で取り上げていただきました。

山本86歳の方が悔し涙を流される状況はある意味奮い立つようなものがありますよね。
湯﨑氏チャレンジをしようと思い定めて実現するまでの道のりというのは、1人でできるわけでもないですよね。その道のりをどのように切り開いていったのでしょうか。どのように人を巻き込んでこられたのでしょうか。
三浦氏自分でこれをやってみたいという夢、たとえば頂上に旗を上げたいと公言するんです。若いころからやっていることは、前例のないことが多かったので、バカじゃないかと言われました。だからやってみようと思いました。

ドリーム・アーツの山本 山本 孝昭

湯﨑氏通常はできない理由を並べて、諦めてしまうことが多いと思うのですが、それを乗り越えるのは、なかなか誰でもできないような気がします。
三浦氏だから公言するんです。自分で掲げた目標を周りに公言すると応援してくれる人ができて、その力が大きくなります。おっしゃる通り、1人だけではできません。そして、最後まで諦めないで準備し、まずはスタートすることも大事です。
湯﨑氏まず動き始めることが大事な気がしますね。
三浦氏そうですね、まず計画をたてたら行動する、地図をつくる。息子が親孝行してくれていますし、最強スタッフが支えてくれる力が大きいです。
湯﨑氏一見無謀そうなことをされているわけですが、その裏には周到な計画もあったのでしょうか。
三浦氏そうですね。今回80歳でエベレストに登る前に、直前の不整脈手術をしなくてはならない、時間もない状況でした。その時にふと”年寄り半日仕事”という言葉を思い出したんです。
1日の仕事を半分にしようと思いました。朝行ってお昼はごはんをゆっくり食べる、昼寝する、散歩する、18日程度その生活を繰り返したら心臓のリハビリも終わり、足腰も復活しました。その場に応じて自分に一番あった方法を見つけ出すことを習慣づけています。
山本初めて三浦さんにお会いしたのが7年前、エベレストに登られる直前でした。
7月の晴天でしたが、三浦さんは2kgの重りを両足につけたままでゴルフ、18ホールまわっていらっしゃいました。日々努力をされていると驚き、今また印象深く思い出しました。

湯﨑氏冒険家でありプロスキーヤーである三浦氏。ビジネスの起業家としての三浦氏は、どのように周りを巻き込んでいくのでしょうか。
三浦氏僕の場合はスタッフが応援してくれたのが大きく、その面でも運が良かったのだと思います。学生時代から企画書を書いて仲間とスポンサー集めをしていました。アメリカ、マサチューセッツの海洋研究所に勤めていた学生時代の仲間は、スキー部時代の資金調達経験が一番役に立ったと言っていました。
おかげで運の良さ、巡りあわせが重なって、サントリーの佐治さん、石原裕次郎さんなどにも協賛いただける形になりました。50年以上前ですから当時の2億円は10倍の価値があります。ただスポンサーがたくさんいるなかで、挑戦しなかったら…ひょっとしたら史上最強の詐欺師なのではと思ったこともありますよ(笑)
湯﨑氏すごい!実現したい夢が大きければ大きいほど周りは共鳴してくれるのでしょうか。
山本何か理屈ではないところで惹きつけられるもの、響くものが三浦さんにはあるのだと思いますね。
本日はありがとうございました!
三浦氏ありがとうございました!

広島県庁 知事室で記念撮影 広島県庁 知事室にて
パネルディスカッションが終わったあとも、当日は参加者から多くの質問が寄せられました。

参加者からの「夢をかなえた(登頂の)瞬間はどんなことを感じるのか」という問いに対して、 「まずどうやって生きて帰るかを考えました。エベレストでの遭難者のうち、8割は下山中に遭難しているそうです。下り道こそ危険であり、気をつけなくてはと思いました」と三浦氏。

また、「スキーで滑るときに恐怖心はありますか」と質問があがった際、「スタート時点は無我夢中。死んでもいいと思えるような世界に入る」とのこと。そのため、唯一、途中で迷ったのは今回の「アコンカグア登頂プロジェクト」だそうです。 「普通人間は経験を積み重ねると恐怖が増すといわれますが…その年齢にあったことをしています」とのコメントに、会場が笑いに包まれた場面もありました。

知話輪サロンでの質疑応答 活発な質疑応答が行われました

最後までご覧いただき、ありがとうございました。 なお、知話輪サロンで集まった会費は、ドリーム・アーツが支援している財団法人日本盲導犬協会などの 社会貢献団体に全額寄付しております。知話輪サロンは、ドリーム・アーツがスポンサードするチャリティー・イベントとして今後も活動してまいります。