日本発の世界的アートをオマージュ!
ドリーム・アーツの2023年カレンダー制作秘話
※本記事は、noteに連載している「ドリーム・アーツ Designers」からの転載となります。
こんにちは。ドリーム・アーツのデザイナーちゅう吉です。今年も早いもので来年のカレンダーを紹介する時期になりました!
ドリーム・アーツでは今年も卓上カレンダーを制作しました。
「是非お客さまに喜んでもらいたい!『ワオ!』と驚かせたい!」という想いを込めて作ったカレンダーは、毎年お客さまからご好評をいただいております。そんなドリーム・アーツの今年のカレンダーは、オフィスリニューアル時に制作したチョークアートがテーマのタネになっています。
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さて、2023年のカレンダーは、世界の美術界に衝撃を与えた葛飾北斎の「冨嶽三⼗六景」をモチーフにしました。
2023年ドリーム・アーツカレンダー
これのどこが葛飾北斎?全然違うじゃないか騙されたぜ!そんな声が聞こえてきます。
よくみてください。「よくみたら北斎」なのです。ドリーム・アーツ×葛飾北斎を追求した結果この形に着地したのです。そんな今年のカレンダーがなぜこのようなデザインになったのか、これからお話しします。
なぜ北斎なのか?
カレンダーデザイン制作秘話の前に、テーマとなった北斎の冨嶽三十六景について、うんちく話を紹介します。
国内のこれまでの浮世絵会には、役者や美人画、人物画しかなかったようなのですが、風景画を描いて話題になったのが北斎で、さらに海外の画家たちにまでも影響を与えたようです。
また海外に目を向けると、たとえば北斎の冨嶽三十六景では青色が非常に印象的です。青といえば、フェルメール・ブルー(別名:ウルトラマリンブルー)が有名ですが、これは金よりも高価だとも言われる鉱物ラピスラズリという、宝石を砕いて作った青です。きれいな「青色」を追求するとなると、とてもお金がかかるものでした。
しかし、北斎のあの美しい青は「ベルリン藍」、略して「ベロ藍」と呼ばれる化学的な合成顔料です。ラピスラズリのような高価なものではありません。
では、ヨーロッパの画家とかも「ベロ藍」を使えば良いのでは? となりますが、「ベロ藍」が鮮やかに発色するには、実は日本独自の和紙と摺師(刷り師)の技が必要になるんですね。その代表格が北斎です。
ヨーロッパからやってきた「ベロ藍」が、北斎と出会ったことによって美しい青となり、フランスをはじめヨーロッパにそれが逆輸入という形でもたらされ、革新的な構図と配色の美しさで“ジャポニスム”という一大ブームを巻き起こすわけです。
そんな葛飾北斎の美術史における革新性と価値へのオマージュを込め、ドリーム・アーツの目指す変革と提供する価値を表現したのが今回のカレンダーデザインになります。
そのほかにもいろいろ詳しく書かれた記事もあるので、興味のある方はぜひ以下の、ちゅう吉おすすめ記事を読んでみてください。
制作苦労話
今回、葛飾北斎の浮世絵を素材にするということで、メトロポリタン美術館で公開されているパブリックドメインの画像を使っています。絵を切って貼れば簡単にカレンダーが作れる!やったぞ楽ができる。
・・・そんなうまい話はありません。以下のような課題が出てきました。
- 原画を使うことの課題
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- 原画をそのまま使うと、ドリーム・アーツのキャラクターが浮いてしまう
- ドリーム・アーツの目指す先進性が出ない
- どうしても色がくすんだ印象になり、渋いカレンダーになってしまう
- 日付と絵のレイアウトのバランスが難しい
原画をそのまま使えないとして、画像加工で原画の色味を綺麗にしてみましたがそれでも原画の渋さは残ります。
次に、原画をIllustratorのパスでトレースして作りました。パスでトレースすれば、世界観も作りやすい!と思ったのですが、工数がやたらとかかってしまいました。効率的に作るためにトレース専門の業者と連絡をとって実際に見積もりまで取って進めようとしたわけですが、それでも原画に引っ張られ渋いカレンダーになってしまい、ドリーム・アーツの目指す先進性とは離れてしまうのでした。
ボツになったカレンダーたち
原画の色味を鮮やかにしてもドリーム・アーツとマッチしない、・・・試した試行錯誤の末、ならば逆に統一感を出さないためにカラフルにするという選択肢を思いつきました。
世界的に有名なアンディ・ウォーホルさんや村上隆さん、PARCOの広告のような、目が覚めるようなビビッドな色、奇抜な配色を目指すことにしたのです。
Photoshopのグラデーションマップを使いビビッドな配色へ、こうすることで原画にひきずられずぱっと見の印象が明るく華やか、ドリーム・アーツの目指すイメージに近づけられたのです。
画像の色味を変えたのち画像を切り抜き、ポピーとチェロを絵の中に溶け込ませ、どうにかこうにか日付と画像を入れ込み最終形態にたどりつきました。制作で意識したことは以下です。
- 制作で意識していたこと
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- 原画にひきずられず、ぱっと見の印象を大事に
- ポピーとチェロを絵の世界に楽しく溶け込ませる
- メインの月の日付が読みやすいこと
- 悩んだらPARCOの広告を眺める
今回、ドリーム・アーツのキャラクターであるポピーとチェロも各月に入っています。これまで裸で座ったり走ったりするだけだった彼らですが今回のカレンダーではいろんな衣装をつけ、新たな表情を見せています。ぜひポピーとチェロにも注目してみてくださいね。
クリスマスカードも葛飾北斎
最後にドリーム・アーツの今年のクリスマスカードの紹介します。
こちらも葛飾北斎がテーマになっていますが、実はこのカードを色反転するとオフィスのチョークアートになるんです。
ぜひドリーム・アーツのオフィスに来た際は本物のチョークアートと見比べてみてください!クリスマスカードは特別webページもあります。ぜひこちらもチェックしてください。
ドリーム・アーツデザイナーの想い
そんなわけで今年もカレンダー制作が終わりました。
毎年なぜドリーム・アーツではカレンダーに力を入れるのでしょう。
それは、毎年使ってるお客さまには、今年も楽しいカレンダーが来たねと、まだまだドリーム・アーツを知らないお客さまには、他と違うな、なんだろうと興味を持ってもらいたいのです。
業者に頼んで工数をかけずともカレンダーは制作できますが、あえて自社制作でこだわり、相手に喜んでもらえる楽しんでもらえるものを毎年目指しています。
今回パブリックドメインの絵を使ったカレンダー制作でしたが、ぜひみなさんも古典絵画を参考にしてみてはいかがでしょう。
深みのあるデザインや新たなアイディアが生まれるかもしれません★